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ベニミツマタに集うクロマダラソテツシジミ

天王森泉公園の正門の横には、ベニミツマタの低木がひっそりと根を下ろしています。冬を迎えるこの時期、まだ寒い中で白いつぼみがゆっくりと芽吹き、春の訪れを予感させてくれます。ベニミツマタの花は例年2月から3月ごろに咲きますが、今はそのつぼみがほんのりと開き、独特の芳香を放ち始めていました。

その香りに誘われて、2匹の小さな蝶が舞っているのを見つけました。初めはヤマトシジミかと思ったのですが、よく見ると特徴が異なります。尾ビレが長く、付け根に黄色い斑点が見えることから、これはクロマダラソテツシジミではないかと思いました。小さな体でありながら、ブルームラサキの色が印象的で、日差しを受けて輝く様子は、まるで宝石のようでした。

秋の冷たい風が吹く中、クロマダラソテツシジミたちは羽を小さく広げたり閉じたりして、秋風をしのぐように羽をすぼめていました。ベニミツマタのつぼみの白さと対照的に、ブルームラサキの色が美しいその姿は、短い秋の日を楽しんでいるかのようでした。今しか見られない、自然が紡ぎ出す小さなドラマを感じ、心が温かくなりました。

冬を迎える前の静かなひととき。ベニミツマタの香りと共に舞うクロマダラソテツシジミの姿が、また来年の春の訪れを約束してくれているようでした。