秋も深まり、天王森泉公園の裏庭から竹林へと続く坂道を歩いていると、思わず足を止める光景が広がっていました。時雨に濡れたコンギク(紺菊)が、葉や花びらに小さな水玉を纏い、淡い光の中で輝いているのです。まるで宝石をちりばめたようなその姿は、晩秋から初冬にかけての寒く冷たい時雨に濡れる紺菊の静かな美しさを感じさせてくれました。
コンギク(紺菊)はその名の通り、深い青紫の花が特徴的な菊の一種です。控えめながらもどこか凛としたその佇まいは、竹林へと続く坂道の静寂にぴったりと溶け込んでいます。時折、竹林を揺らす風に合わせて、コンギク(紺菊)の花びらが軽やかに揺れる様子も、まるで自然の詩を詠んでいるかのようです。
この坂道は、四季折々の風景が楽しめる隠れた散歩道として地元の人々に愛されています。春には山桜が咲き、夏には青々とした竹のトンネルが心地よい日陰を作りますが、晩秋のこの時期はコンギク(紺菊)や紅葉したイロハカエデが特に美しく、訪れるたびに新たな感動を与えてくれます。
今日は少し立ち止まり、コンギク(紺菊)に宿る水玉をじっと見つめてみました。雨が残した贈り物のように、ひとつひとつが光を集めてきらめいています。その小さな世界には、坂道を行き交う私たちの慌ただしさとは対照的な、穏やかな時間が流れていました。
竹林の先へと続くこの道は、自然が織りなす美しさに触れられる特別な場所です。忙しい日常を少しだけ離れて、季節の移ろいを感じるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。あなたの足元にも、冷たい時雨が残した美しい光景が広がっているかもしれません。