天王森泉公園の玄関を入ると、泉館と弁天坂との間に丸い石垣が迎えてくれます。その石垣沿いの坂を登る途中で、沈丁花の花が咲き始めています。まだ蕾は赤く色づき始めたばかりで香りは感じられませんが、その鮮やかな葉に包まれた赤い蕾が凛と立ち、訪れる人々を迎え入れているようです。
この風景を見ていると
「淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
溢れる涙の蕾から
ひとつ ひとつ香り始める
それは それは 空を越えて
やがて やがて 迎えに来る
春よ 遠き春よ 瞼綴じればそこに」
と云う、荒井由美の「春よ来い」の歌詞がふと浮かんできます。
「いとし面影の沈丁花」は、「旅も人生も、同行者がお互いに思いやりを持って仲良くやっていくことが大切」といった古いことわざです。
天王森泉公園で、ぜひ沈丁花に心を寄せてみてください。一つ一つの蕾が開き、強い香りが小さな蕾から香り始めるその瞬間に、きっと新たな気づきや想いが生まれるでしょう。